第24章 酔っ払いにはご用心。
「あ♡てつろーさん♡」
リビングに向かえば俺に気づいた莉奈がにかりと俺に笑う。
でも。
着ていたカーディガンは横。
履いていたタイツみたいな靴下は足首。
インナーからは胸元が透けて見える。
「てつろーさん、ここ、はずしてくださぁい♡」
そう言いながら莉奈は背中側にあるインナーのボタンを、髪を避けうなじを見せつける。
「っ!莉奈っ!!」
横に莉奈が脱いだカーディガンがあるはずなのに、思わず自分のパーカーを脱いで莉奈の肩にかける。
「美優、部屋、貸して。」
「あ…うん!用意してくるから少し待ってて。」
「俺も行ってきます!」
美優とリエーフはばたばたとリビングの外へと出て行く。
そんな2人を見ながら事の発端である莉奈がパーカーからもぞもぞと顔を出した。
「てつろーさんあついー!」
「うるせー我慢しろ!」
「じゃあジュースのむー!」
そう言いながら手を伸ばしているのはツッキーが買ってきたチューハイ。
「それはジュースじゃねえ!」
「いちごオレのみたいー!!」
駄々をこねる莉奈を腕の中に納めていると、美優が部屋ができたことを呼びにくる。
あ、そうだ。
「ツッキー、あとで話があるから。」
そう笑顔で言えば、ツッキーは目をそらしながらはーい、と返事をした。
嫌がる莉奈を連れて部屋を出れば美優が視線を下にしてぽつりと話す。
「あの部屋、だから…何使っても大丈夫…」
ああ、美優のかーちゃんの部屋な?
前使わせてもらったからわかるけどとんでもねーよな。
まあ、何も使わないに越したことはねえけど。
「はいよ、ありがとうな。」
部屋を準備してくれた美優に感謝しつつ、俺はリビングを出て部屋に向かった。