第24章 酔っ払いにはご用心。
夜勤明けの莉奈を美優の家に送り届けたあと家のことと持ち帰ってきていた残りの仕事をやって、また美優の家に向かう。
家に着けば買い物を終えリエーフの手伝いをしている赤葦が玄関にいた。
「遅いですね、黒尾さん。」
「うるせ、センセーは忙しいんだよ。」
「あ!てつろーさん!」
奥から声をかけてきた莉奈。
今から風呂なのか、家で着ているふわふわしたルームウェアでこちらに寄ってくる。
「まだ寝てなくて大丈夫か。」
「大丈夫です!みんなが動いてるのに私だけ寝てるのも嫌だし…」
美優の家が暖かいからと、防寒のために履いているふわふわしたルームソックスをルーズに下ろし、ショートパンツから真っ白な足を惜しみなく露出させている今の状況。
お前には危機感ってものはねーのか。
そんな言葉を飲み込んで、俺は普段通りの口調で話す。
「じゃあまず風呂行ってこい。そのまま風呂掃除もしてくれば一石二鳥だろ。」
「わかりました。じゃあ行ってきまーす。みゆさーん!!」
美優の家用にと置いているうさぎを模したルームシューズをパタパタ鳴らしながら莉奈は美優のところへと向かって行く。
それを見送りながらブーツを脱いでいると目の前の赤葦がぼそりと呟いた。
「いいっすね、あのすらっとしたふくらはぎと肉付きの良い太腿。」
…だから早く隠して欲しかったんだ。
仲の良い先輩後輩達でも油断すんなって…
まあ、何もないのはわかっているけれど、念のため赤葦に忠告。
「触んなよ。」
「俺は見るだけで良いんで。」
「じゃあ見んな。」
「それは約束できません。」
「お前も彼女いるだろう。」
「俺の彼女、心が広いので大丈夫です。
むしろ俺と一緒にあの足を褒めると思うので"彼女"は抑止力にはなりません。」
…なんて奴らだ。
まあ、赤葦の彼女の話はまた今度にして、とりあえず玄関から先に進む。
そして今必要なことは何かと聞くためにキッチンへ向かったのだった。