第23章 クリスマス、しよ? R18
side灰羽
「手紙…誰からだったんですか?」
俺がそう問えば美優さんは上目遣いで俺を見る。
「店長…だけど……」
…え?
店長って美優さんの職場の…ってことだよな。
「っ!だって店長さんほづみって名前じゃなかったでしたっけ⁈
八月一日さんでしたよ?名前!」
そう問えば、美優さんの顔から表情がなくなっていく。
「…リエーフ、スマホ、検索。」
美優さんの目が怖くて、俺は前を寛げたまま帰宅してすぐに充電器に繋いだスマホで検索を始める。
「ほづみ、って検索してどんな漢字が出てきた?リエーフ。」
机に向かって検索をしながら、背中に受ける美優さんの刺さるような視線。
「はちがつ、ついたち、です。」
ぺたり、いつのまにか近づいてきた美優さんが背中に張り付く。
「怒ってた理由はそれ?」
ため息混じりに前に手を回し俺に抱きつく美優さんに情けないながらもうんと返事をする。
「だってサプライズとかバレンタインとか言ってたから…」
職場のシェフからの言葉かと思い嫉妬していたけれど、店長の言葉だったら納得だ。
今、美優さんはお店でスイーツの担当を任されている。
だから2月のスイーツ…バレンタインスイーツの案を…ってわけだ。
完全に空回っている自分に嫌気がさしながらも素直に謝ると、腹に回っていた美優さんの腕が少しだけ強く締まる。
「気持ちよくしてくれないなら許さない…から。」
少しだけ上ずった声の美優さん。
結ばれた腕をほどき、そのままベッドに直行。
ベッドに再び押し倒せば、美優さんはキスをせがむ。
せっかくの夕飯は…
また後で…かな?
俺は美優さんの願いに応えるべく、自らの唇を美優さんのそれに重ねた。