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ねこわん‼︎【HQ】

第23章 クリスマス、しよ? R18




「ただいまっ!」

ドアノブを回せば掛かっていない鍵。
暖かい室内、おいしそうな香り。
奥から聞こえたお帰りなさいの声。

ブーツを脱ぎキッチンへ直行すると、そこには私よりも早く仕事が終わったリエーフがお鍋をかき混ぜていた。

「美優さんおかえりなさい。クラムチャウダーできてますよ?」

「遅くなってごめんね?これ、店長が…」

箱を渡すと不思議そうな顔をして受け取るリエーフ。
箱の中を覗いた瞬間ぱああと表情が晴れていくのを、私はマフラーを取りながら見つめた。

「うわあ!チキンにサラダにポテト!テリーヌまである!」

…へ?
慌てて中を覗くと今日のクリスマス仕様のメニューにはない沢山の料理が箱に入っている。

「あ、メモ。」

どうぞと渡されたメモには流暢な文字で私へのメッセージが書いてある。


"dear椎名さん

marry Xmas
いつも頑張ってくれてる椎名さんにサプライズ。
多分忙しくて料理を仕込む暇もなかっただろうから。
お礼はバレンタインスイーツ、気合い入れて作ってね?
よろしく。

fro八月一日

八月一日(ほづみ)店長の粋な計らいに嬉しくなった私はくすり、と笑う。
その声がリエーフに届いたらしく、リエーフは手元の手紙をちらりと覗いてきた。

「今日、キャンセルが出た分を持って行ってって言われたのにメニューにないものがいっぱい入ってるの。
本当にありがたい。」

手紙を畳んでポケットに入れようとすると、かちり、とコンロを止める音。
クラムチャウダーが出来上がったのかなと顔を上げると、なぜかいきなり奪われる唇。

さっきまで甘いムードだったはずなのに噛みつくようなキス。
何故、と思いながらもいつもの唇の感触に答えてしまう。

「っ…ぇーふ…」

いつものように蕩けさせられ、体がくたりと力をなくす。
そのタイミングを狙ったかのように、リエーフは私の体を肩にひょいと担いだ。

「部屋、行きます。」

「っ!ご飯っ!」

「後で。」

何が悪かったんだろう。
どうしてだろう。

そんな言葉が頭をめぐる。

キッチンの隣にあるリエーフの部屋。
抵抗してもものの数秒で到着する部屋のベッドに、勢いよくどさりと降ろされる。
起きた後そのままの布団はぐしゃりと乱れ、熱を持たないまま、私の体を冷やす。



暗いままの部屋


2つの緑が
ぎらりと光る

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