第22章 椎名美優の数日後 in2018
リエーフが高校を卒業した時に、一度話をした。
どうせ一緒に住み続けるなら籍を入れないかと。
でも、リエーフは一瞬息を詰まらせ、首を横に振った。
「俺、確かに美優さんと結婚したいです。
でも、それは自分で稼げるようになってからがいいです。
親の金で学校行ってる間に結婚…ってなんか違う気がして…」
私なんかよりずっとしっかりした答え。
ごめん、と謝った私にリエーフは苦笑い。
1、2、3秒。
間が空いた後、リエーフの表情が崩れる。
「っ!ごめんなさい!
嘘つきました!!
美優さんに俺のことかっこいいって思ってもらいたいんです!!!」
叫ぶようにそう言ったリエーフ。
怒ったような
泣きそうな
そんな表情
「俺、年下で今までもずっと甘えてばかりで、まだまだ役に立ててないことばかりで…
だから、専門卒業して資格取って、しっかりやれるって思えるまで結婚できません!!」
私とのことで、苦しい顔、させたくない。
今まで、たくさんたくさん苦しい思い、させてきたから。
思いを吐露する唇を塞ぐ。
もう、苦しい思いを吐き出さなくていいように。
『わかった。』
『でもね、約束して?』
『相手と結婚できる、そう思える時が来たら私はリエーフに、リエーフは私にエンゲージリングを送る。』
『それが合図。』
『これだけは譲れない。』
そう、リエーフにお願いをすると、リエーフはこくりと頷いた。
それが4年前。