第21章 灰羽リエーフの1日 2018
pm08:07
食事が終わり、会計を済ませ外へ出る。
アルコールの入った体に風が心地いい。
『っ…リエーフ。』
少し先に進んでいた俺は、呼ばれるがままに振り返る。
ワインと、ケーキのブランデーのせいだろうか、頬にほんのりと赤みがさし、目が潤んでいる。
「みゆ、さん?」
『リエーフ、あのね?』
とくり、とくり。
心臓が泡立つ。
いや、気のせいだ。
そう思いながらも目が離せない。
『はやく、家、帰りたい。』
そっと掴まれた手から、じわりと伝わる感情。
俺が間違ってなかったら。
「家に帰って、何するの?」
疑問を確信に変えようと耳元で囁くと、美優さんはぽそり、答えた。
『えっち…しよ?』
理性が吹き飛んだ。
すぐにスマホを取り出しタクシーを呼んだ。
歩いて10分が待ちきれなくて。
待っている間に繋ぐ手がもどかしかった。
はやく
家に帰りたい。
はやく
美優さんを抱きしめたい。
はやく