第21章 灰羽リエーフの1日 2018
19:10
オーナーに案内され、席へ座る。
その際に耳打ちされた、「準備できてるよ」の声。
それでも大丈夫か心配で、リエーフに挨拶に行くと称して席を抜けると私は厨房へ向かった。
『皆さんお疲れ様です。』
「あ、椎名さん。予約7時からでしたっけ?」
「こっちは準備万端だよ!」
「大丈夫だからこっちは任せて!」
頼もしい声がけににまり、口元が緩む。
「椎名さん、この順番でいいのよね?」
オーナーの奥様…フロア長が料理の順番を書いている用紙を見せてくる。
『そうです。あと、デザートは…』
「わかってるわよ。"アレ"でしょ?」
『よろしくお願いします。』
ぺこり、会釈をしていると、後ろからフロアから戻ってきたらしいオーナーが私の肩を叩いた。
「ほら、君の忠犬君が席でそわそわしてるよ。
こっちは大丈夫だから席に戻りなさい。
今日は君はお客様なんだから。」
厨房に集まっているみんながにかりと笑う。
本当に心強くて、思わず私も微笑んだ。
『みなさん、よろしくお願いします!』