第4章 月にいちどのおそろの日。
お昼。
授業が終わると俺は購買で飲み物を2つ買う。
俺の分の炭酸と美優さんのお茶。
今日は追加でもう1本。
美優さん喜んでくれたらいいな。
そう、思いながら3年の教室に行けば朝と同じように机に突っ伏す美優さん。
「みーゆさーん?来ましたよー?大丈夫ですか?」
そういうと、美優さんは小さなポーチを持ちゆらり、立ち上がると小さな声で「トイレ、いってくる。」と言い残し、教室を出ていった。
先に準備しておこうと美優さんのお弁当用のトートバッグを持ち上げるといつもよりずっしりとした感触。
ああ、そういえば…
俺はいつものように自分の分と美優さんの分の包みを開き、待つ。
腹減ったなー。
3限体育で長距離だったからなー。
そんなことを考えていれば美優さんが帰ってきた。
やっぱりふわふわ…足元が危なっかしい。
美優さんはポーチをかばんにしまうと、うーと唸る。
『お腹すいてない…』
「食べなきゃ放課後まで持ちませんよ?」
『でも少し食べたら全部食べきっちゃうんだよね…
なんなんだろう…この食欲。』
そう言いながら美優さんは俺の弁当と同じくらいのサイズのタッパーを開け、ぱくぱくとご飯を食べ始めた。
そう。
美優さんは生理が来ると食欲旺盛になるっていうか痛みで満腹中枢が阿呆になる。
食べても食べてもおなかが空くみたい。
いつもは絶対残してしまう量、いつもの弁当の倍くらいのサイズの弁当を次々に口に運んでいる。
これだけ食べる姿は俺としてはものすごく気持ち良い。
いつもこれだけ食べてくれたらいいなーなんて思う。
俺と同じくらいのサイズの弁当を全て食べ終わった美優さんはお茶を飲みながら深いため息をついた。
『はぁ…また太る…』
「美優さんは痩せすぎっす。もっと太ってもいいんですよ?」
そう言いながら俺はほいっとさっき買ってきていたもう1本の飲み物を美優さんに渡す。
『これ…』
「少しは気持ち上がるかなって。」
缶のミルクティー。
冷たすぎると体を冷やして余計に痛むことをアリサから聞いたことがある。
さっき自販機を見たらあったかい飲み物が売り始めていたから美優さんの好きそうなミルクティーを買っておいたんだ。
『ありがと…』
美優さんは暖かな缶をぎゅっと抱きしめほわり、と笑った。