第19章 夏、18歳
そっと目を開ければ瞑っていた瞳を開きびっくりするリエーフ。
ふ、と我に帰る私。
なぜこんなことをしたんだろうと自問自答をしながら逃げようとしても、足の上にはリエーフがいて逃げられない。
「美優さん、ほっぺもいいけどさ…」
上半身を起こしたリエーフはにまりと笑うと、薄く形の整った唇を指で叩いた。
「こっち、してよ。」
ぐいと近づく顔。
見つめる瞳はきらりと輝き、じいと私を見る。
「ね、美優さん。」
きっと引かないだろう、リエーフは。
コンクリートの床についた手を払い、それでリエーフの瞳を塞ぐ。
「いっかい、だけよ。」
ほんの一瞬。
顔を近づけ、唇に触れる。
そっと手を離した時に、指の隙間から覗いた緑が目に眩しかった。
end