第16章 2人(?)ドタバタクリスマス!後編!
side山岡
鬱陶しく光る水槽を覗く美優を見ていた。
反射した光が淡く美優を照らしていて、やっぱり綺麗だなと思った。
嬉しそうに水槽を覗きながら、不安そうに眉を下げる美優。
そんな顔をさせているのは俺なのに、それでも近くにいることに優越感を感じるんだから、俺もまだまだ餓鬼だなと思う。
『ね、マサちゃん。ペンギン。』
くいと俺の袖を引く美優。
下から俺を見上げる美優の目線が刺さり、思わず目をそらしながらぐしゃぐしゃと頭を撫でた。
せっかく綺麗にしてもらったのに、と呟く美優の髪型は綺麗に編み込まれている。
あの…なんだっけ…
有名なねずみのキャラクターの会社の映画…
250億近く興行収入出した雪の姉妹の奴…
あの主人公の姉の雪の女王みたいな髪型をしてるんだけど、まあ、似合ってる。
でも、”してもらった”ってことは…なんて気持ちが胸の中で渦巻く。
本当、餓鬼みてえだ。
だから俺はわざと、美優の頭を鷲掴み自分の方へ引き寄せた。
『ま、マサちゃ⁈』
「さっきから思ってたんだけどさ。」
なあ、お前が彼奴を名前で呼ぶように…
「俺の名前は”マサちゃん”じゃねえよ。」
俺も名前で呼んでくれよ。
何が言いたいか察しがついた美優。
頬を赤らめ、視線迷わせたあと、口元を両手で押さえ、小さな声で「まさ…つぐさん」と呟く。
いつもと違い、なれない呼び名に照れて頬を赤くする顔が堪らなく良くて、口元を緩ませる。
「やっぱりいいな。」
『もう、呼ばない…』
「また呼ばせてやるよ。」
駄目だな。
諦めようとすればするほど気持ちが加速していく。
”好き”という気持ちが逆に増していく。
諦めてなんか、やらねえからな。