第14章 2人(?)ドタバタクリスマス!前編!
合宿中私にあてがわれた、食堂に近い空き教室。
勢い任せに開かれ部屋に押し込まれる。
がらがら、がたん。
振り返れば扉を閉めるリエーフがシルエットとなって私に近づいて来た。
真っ暗な部屋。
廊下からの光で顔が見えない。
『りえ、ふ…ごめ…』
「それは何に対しての謝罪ですか?」
固い声。
怒っている。
自分を大事にしない、そんな私に怒っている。
『わたし…やくそく』
守れなかった。
自分をもっと大事にするっていう約束を。
「分かってるならいいんです。」
傷んだ私の手をするりと掴み、自分に寄せるリエーフ。
荒れてガサガサになった私の手に優しく唇を寄せたと思ったら、ぺろり、と傷を舐めた。
「でも、約束守れなかったから、お仕置きです。」
真っ暗な室内でリエーフの瞳が光る。
心臓がどくりと跳ねた刹那、私の体は宙に浮き、先に敷いておいた布団にとさりと落とされた。
『ちょっ、リエーフっ!今合宿中‼︎』
「俺との約束破る美優さんが悪い。」
ぱくりと割れた私の皮膚に、リエーフは舌を這わせていく。
じりじりとした痛みで顔をしかめるとリエーフはくすりと笑った。
「美優さんの痛み、上書きしてあげる」
ぢりり
「思い出して、俺のこと」
ぢりり
「傷が痛んだ時」
ぢりり、ぢりりと痛みが増すたび、痛みだけでない感覚が溢れそうになっていく。
指先を滑る赤い舌と私を射抜く緑の瞳が、私の身体を熱くさせていく。
「ねえ、気づいてる?美優さん。」
何に?
そう問う前にリエーフは私の手から唇を離す。
「顔、真っ赤。」
するり、頬に添えられた手。
反対の頬にはそっと唇が添えられる。
「美優さん、かわいい。」
ちうっと音を立てて吸われた頬が熱くて、
熱を持った身体が疼いて、
仕方がない。