第14章 2人(?)ドタバタクリスマス!前編!
お願い、触って?
そう願おうとした時、す、と暖かな身体が離れていった。
『りえーふ…?』
「美優さん、合宿中なのでおしまいです。」
にやり。
リエーフが嗤う。
最初からこうするつもりだったのか。
まんまと罠にはまってしまった自分が恥ずかしい。
『っつ!リエーフの馬鹿っ!』
恥ずかしさでそう叫べば、リエーフは笑みを崩さず私に話す。
「続きは明日、帰ってからにしましょう?」
声聞かれたいですか?
なんて恐ろしい言葉を吐いたリエーフを睨めば、リエーフはくすり、と笑って私にキスをした。
ーーーーーー
結局あのあと私たちはそれぞれお風呂に行った。
お風呂から上がったあと部屋に戻れば、部屋には私が使うはずの布団の上で携帯をいじるリエーフ。
なぜいるのかと問いかければ、リエーフは自分の前に座るように指示をする。
大人しく座れば、リエーフは家から持ってきていたらしい軟膏を、私の裂けてしまった指の傷に塗り始めた。
まだ切れていない場所にはこれ以上手荒れがひどくならないようにワセリンを塗ってくれている。
『リエーフ、ごめんね?』
保湿用に、と白布の手袋をつけてくれるリエーフにぽそり、謝ると、リエーフはぷううと膨れる。
「俺、美優さんに謝ってもらうためにやってるんじゃないです。」
拗ねたような声で私に手袋をはめ、私のおでこにこつりと自分のおでこを寄せたリエーフは、優しい声で言う。
「”ごめんね”より、俺は”ありがとう”が聞きたいです。」
なんども言われている言葉。
それでも謝っちゃうの、なんとかしなきゃなぁ。
私は顔をリエーフの首元に埋めると、小さな声でありがとうを伝えたのであった。
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