第14章 2人(?)ドタバタクリスマス!前編!
「美優さん。」
小さく、呟かれた私の名前。
引かれた腕の方を見れば、リエーフ。
「”これ”なんですか?」
私の荒れた手を一瞥し、私を見る。
深い緑が私の瞳をじっと見つめる。
”無理しないでください”
いつもいつも言われてる言葉。
みんなの笑顔が嬉しくて、
1番笑顔になって欲しい人の言葉を蔑ろにした。
『ぁ……りえ…ごめんなさ…』
無言のリエーフは掴んだ腕をそのまま引き、食堂を出ようとする。
『みんなっ!食器まとめててくれたら後で片付けるからっ‼︎』
言わなきゃいけないことを叫び、私はそのままリエーフに引かれ、食堂を出た。
ーーーーーー
美優、リエーフが去った食堂。
そこではこんな話が繰り広げられていた。
「また痴話喧嘩か。」
「そうみたいですね?てつろーさん。」
「んあ?何?美優なんかしたか?」
「木兎さんは気にしなくていいです。
とりあえず食器は水張っておきましょうか。」
「そうだな。あと机拭いとくか。」
「明日の朝、モーニングコールしなきゃなぁ。」
「「「美優(さん)明日、動ければいいけど。」」」
こんな話がされていたことは、本人たちは全く知る由もない。