第14章 2人(?)ドタバタクリスマス!前編!
side灰羽
あんな風に突っぱねて大丈夫だったのだろうか。
心配しながら急いで荷物を詰め、散らかった部屋を片付けると急いで美優さんの部屋に向かった。
しかしそこには美優さんの姿はなく、シーツはひやり、と冷えている。
多分俺の部屋を出てから自室には戻ってない。
リビングかキッチンか…
多分リビングだと踏んで、そちらに近づけば小さく聞こえるテレビの音。
リビングの扉を開ければ、テレビの向かいにあるソファの上に美優さんはいた。
美優さんのお気に入りのクッションに頭を預けブランケットにくるまりながらすやすやと眠っている。
エアコンは俺が部屋に戻るときに消したまま。
だから部屋は先ほどよりも冷えていた。
「美優さん?美優さん?ここで寝たら風邪ひきますよ?」
体調を崩して欲しくないから声をかけ、体を揺らす。
けれど美優さんは起きる気配はない。
何度か声をかけると美優さんは気怠そうに薄く目を開きながら俺に手を伸ばす。
美優さん、やっぱり寂しかったのかな…
伸ばした手を掴みそのまま体を抱き上げると、美優さんは俺の胸にすりりと頬を寄せる。
できるだけ寒くないように急いで廊下を通り美優さんの部屋を開けると、そっとベッドに美優さんは体を寝かせた。
シーツが冷たいのかふるり、と体を震わせる。
少しでもあっためてあげたい。
俺は美優さんの体が少しでも暖かくなるように、同じベッドに入ると美優さんをぎゅっと抱きしめた。
次の日の朝、起きたら美優さんはもういなかった。
ぺたぺたと床を鳴らしながらキッチンへ向かえば、身支度を終えた美優さんがおはよ、と顔を出す。
いつもは挨拶をしたらすぐにキッチンに戻っていく美優さんがなかなか戻らないから首を傾げれば、美優さんはふにゃり、と笑う。
『昨日、ありがとね?リエーフ。』
朝からその笑顔は反則だって…
嬉しい反面、なぜか今日からの合宿が不安になる。
そんな不安を吹き飛ばすため、俺は洗面所へ顔を洗いに向かったのであった。