第14章 2人(?)ドタバタクリスマス!前編!
学校に戻った私達はまっすぐ調理室に向かう。
授業中ということもあって体育館の近くにある調理室は静かだ。
鍵を開けてもらい中に入ると、数ヶ月ぶりの調理室に懐かしさを感じた。
「懐かしいだろ。お前、3年間ずっとここにいたもんな。」
入り口に立つマサちゃんを振り返れば、マサちゃんは優しく微笑んでいた。
こくり。
かけられた声に肯定の意味で首を縦に振ると、かさりと袋を鳴らしながらマサちゃんは調理室に入ってきた。
そうだ。
私、ずっとここにいた。
ここでいろんなもの作ってた。
懐かしさに涙が出そうになるけれど、今は泣いている場合じゃない。
明日からの合宿の仕込みをしなければ。
私は近くの机に持っていた袋を置くと、調理室の非常扉を開ける。
冬の冷たい風が一気に調理室に吹き込み身震いをした私の肩に、ふわり、ストールが掛けられる。
「ほら、今車の鍵開けてやるから荷物運んじまうぞ。」
『うん、ありがとマサちゃん。』
調理室の目の前にある職員用駐車場。
買い物を終えて学校に戻ってきた時、マサちゃんは調理室の目の前に車を停め、くくっと笑った。
「そこの非常口開けて荷物運んだ方が早ぇ。」
非常口…と言っても生徒は普段この扉から中庭に出たりしているので、別に問題はない…と思いたい。
今回は量が量だから、玄関から入って荷物を運ぶとなるとものすごい時間がかかることが予想されたので、今回はマサちゃんの悪知恵に乗る事にした。
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必死に運んだ大量の食材。
教員用の正面の机の上がいっぱいいっぱいになるほどの量にため息が出そうになる。
逃げていきそうなやる気を捕まえるために家から持参したお気に入りのエプロンをつけ、まずは大量に発注した鳥もも肉の下ごしらえから始めたのであった。