第6章 トッティの憂鬱
主人公視点
時計は正午を回っている。
今日は比較的お客さんが少なかった。
とは言っても、昼食を食べ終わるであろう午後から夕方にかけてが一番混む時間帯だ。まだ油断は出来ない。
『今日の昼くらいにお店行くね♪』
朝、トッティからラインが届いた。
『はーい!待ってるね!』
親には内緒で仕事中に返事をする。
主(お昼になったし、そろそろ来るかな?)
客「すみません。コーヒーおかわりくださーい」
客席をバッシングしていると、お客さんから声をかけられた。
主「かしこまりました!少々お待ちください」
キッチンカウンターに戻り、コーヒーをドリップすると、コーヒーの香ばしい香りが店内を包む。
コーヒーを淹れ終わり、客席に届けたのと同時に、自動ドアが開いた。
主「いらっしゃいませー」
入ってきたお客さんを見ると、思わず固まった。
?「おーっ!なんかオシャレな店だなーっ」
?「場違い感ハンパないね…」
?「ビターなオレには少々似合わないが、デートで来ればガールとスウィートな時間を過ごせそうだ。スイーツだけに!」
?「…」
?「ケーキ!ケーキ!」
主(ト、トド松くんに…5人ともそっくり!!)
トド松くんと同じ顔が5人、ガラスケースの前に並び、ケーキを選んでいる。
それぞれ色違いのパーカーを着ているので、何とか見分けがつきそうだ。
?「あの…すみません、初めてなので頼み方がよく分からなくて…。買ったケーキを向こうで食べられるんですか?」
緑のパーカーの人が話しかけてきた。
主「は、はい。よろしければお飲み物もご一緒に頼めるお得なセットがございます」
?「いーねー!俺コーラ!おねーさん、オススメのケーキってなんかあるー?」
今度は赤いパーカーの人が気さくに話しかけてきた。
主「はい!それでしたらこちらのハチミツと柚子を使ったモンブランが季節限定ですよ」
?「おーすっぱ甘そう!じゃあ俺それでおなしゃーす!」
?「フッ、オレはガトーショコラにカプチーノ。カプチーノにはシナモンを少々かけてくれ…」