第6章 トッティの憂鬱
おそ松視点
土曜の昼間だってのに、今日も俺たちは何するでも、外に出かけるでもなく部屋で過ごしている。
そんなぐうたらな空間に、ピコンッとラインの通知音が響いた。
お(ったく、スマホばっかり見やがって)
トド松は相変わらずスマホをいじり倒している。どうせやってることと言えばSNSだろう。また合コンでも企画してるのか…。
1人でジムや囲碁教室に通っていたり、富士山登ったり…。同じ屋根の下で暮らしているというのに、その生態は謎だらけだ。
そろそろさ、女の子の1人や2人、お兄ちゃんに紹介してくれてもいいんじゃない?ほんとに。
ト「ちょっと、出かけてくる」
スマホをポケットに入れ、トド松が立ち上がった。
お「おっ、どこ行くのー?富士山の次は1人で八ヶ岳とかー?」
ト「それはもう行った」
お、チ「行ったのかよ!」
ト「ちょっと、知り合いのケーキ屋に行ってお茶してくるよ」
チ「え?一人で?」
ト「うん」
お「えーっ。俺もついて行ってオシャレな空間でオシャレな空気吸おっかなー」
カ「フッ、分かるぞトッティ…。己と向き合うために孤独を愛する時間も必要だ」
ト「クーポン券貰ったから使いたくてさ!今日は下見がてら行ってくるから、今度みんなで行こうよ。ねっ?」
チ「ふーん。まぁ、いってらっしゃい」
お「なんかアレだ。1人でスイーツ食べに行くとか、やっぱ女子っぽい」
ト「僕は行動範囲が広いのっ。いってきまーす」
トド松は帽子をかぶると、そそくさと部屋を出て行った。
お「はぁー、競馬にでも行ってくっかぁ」
俺も立ち上がると、チケットのようなものが床に落ちているのが目に入る。
お「何これ?パティスリーアンジュ?ケーキ無料券…?」
チ「それ、トッティのじゃない?さっき知り合いのケーキ屋とか、クーポンがどうとか言ってたし。…って、知り合い…!?」
お、カ、チ、一、ト「………」
お(『知り合い』から匂う、匂うねぇ!また女の子かなぁ〜!?)
お「…届けに…行っちゃう?」
俺の問いに対し、全員が親指をピンと立てた。