第6章 トッティの憂鬱
?「えーと、ショートケーキとアイスコーヒーお願いします」
?「ぼくもショートケーキ!!飲み物はねー、グレープフルーツ!一松兄さんはー?」
?「……」
?「兄さーん?」
?「……」
一松兄さんと呼ばれたその人は、ずっと無言のままだ。黄色いパーカーの人が近くに行き耳を寄せると、うんうん頷いている。
?「わかっタイムリー!すみませーん!ニャンコプリンとブラックコーヒーもくださーい!!」
明るい声が店内に響く。
主「かしこまりました。ご注文は以上でよろしいでしょうか?」
?「はーい!ねぇねぇ、これ使える?」
赤いパーカーの人から、差し出されたクーポン券を受け取る。
主「はい!ケーキ3品まで無料なので、ドリンク3品は単品で、他2品はケーキセットにしますね」
主(トッティにあげたクーポンと同じ…。っていうか、こんなに似ている人達が他人なわけないよね…)
喉の奥につっかえていた言葉を思い切って吐いた。
主「あの…もしかして、トド松くんのご兄弟…ですか?」
?「ん?もしかして、キ、キミがあいつの言ってた知り合いかな?」
?「だははっ!ビンゴだなっ!俺たち実は五つ子なんだよねー。ねぇねぇ、この中でどれがトド松か分かるっ?」
主「え?ええと…」
主(どうしよう…顔は同じだけど、どの人もトッティとは似ても似つかないような…)
?「あのー…」
どうやら、気がつかないうちに新しくお客さんが入っていたらしい。
主「あっ、いらっしゃいませ!…ってあれ?」
同じ顔がさらに1つ増えている。
5人「トッティー!?」
主「じゃあ、五つ子じゃなくて…」
六つ子!?
ト「もうっ、この子は仕事中なんだから困らせないでよね!主ちゃん、兄さん達がお店で騒いじゃってごめん」
お「じゃあ自己紹介しちゃう!俺は長男のおそ松!」
ト「だからそういうのはナシッ!ご、ごめんね!とりあえず席に座らせてくるから!」
お「自分で行くからいいって!じゃあお会計ヨロシク!」
お、カ、チ、一、十「トッティー!!」
そう言い残して、5人は喫茶スペースに向かって行った。