第5章 十四松にファンファーレを
主人公視点
突然の十四松くんの告白に、心臓が飛び上がった。
思わず頷いたけれど、わたしの本心は…
わたしが一緒に過ごしたいのは…
わたしが一緒にいて楽しいのは…
王子様のような出で立ちの十四松くんではなく、
常に女の子に囲まれてさわやかな笑顔を振りまく十四松くんでもない。
自分でも気づかなかったけれど…
わたしが好きになっているのは…
十「さあ来いっ!!」
十四松くんの声でハッと我に帰る。
主(そうだ!初打席なんだから、しっかり応援しないと!)
演奏しようとトランペットを構えた時だった。
主(な、何!?まぶしい…!)
ピッチャーが大きく振りかぶり投球した刹那、十四松くんがいる打席が光に包まれだした。
眩しくて反射的に目をつむってしまったけど、恐る恐る薄眼を開けると——光の先、十四松くんめがけ、 真っ直ぐ球が飛んでいく。
主「十四松くんっ!!」
思わず叫ぶと、光が途絶え現れたのは、
十「ふんぬーーーーーッ!!!!」
カキーンッ!
耳にはっきりと残るバットがボールを捕らえた音と、
わたしが一番会いたい人だった。
打たれたボールが空の彼方へと消えていく。
十「わーいっ!!ありが特大さよならホームランッ!!!!」
野球場に十四松くんの声が響き渡り、池面田くんのチームは勝利を確実なものにしたのだった…。