第5章 十四松にファンファーレを
二週間後
・・・
封筒を手に握りしめ、約束の場所に急ぐと、彼は既にそこにいた。
わたしに気づき、満面の笑みになる。
主「十四松くん!これ見て!!」
彼に駆け寄り、封筒から一枚の紙を取り出し渡す。
十「えーと、トランペット第二奏者…合格?野球のセカンドと同じかなぁ?合格?…ごうかくっ!?」
主「野球とは違うけど、うん!オーディション受かったよ!!」
十「あははー!!スゴイスゴーイ!!おめで盗塁王!!」
ぴょんぴょん飛び跳ね、全身で喜びを表現している。
握手を求められたので手を差し出すと、強く握り締められた。
主「十四松くんのおかげだよ!一緒にいてすごく前向きになれたから…!それに、オーディション会場まで送ってくれたし!」
十四松くんと一緒に過ごすと、悩みなんてちっぽけに思えたし、心が浄化されていくような心地良さがあったのだ。
十「うおぉぉおー!!なんか泳ぎたくなってきたー!主ちゃんも一緒に泳ご?」
主「そ、それより、これから練習試合呼ばれてるんじゃないの?それで呼んでくれたんでしょ?」
十「あーそーだったー!!」
この間の活躍がキッカケで、池面田くんがまた誘ってくれたのだ。
主「今日はお弁当作ってきたから、終わったら一緒に食べようね。」
十「やったーー!!家宝にすっぺー!!」
主「しなくていいから早く向かおう!」
十「はいはいはーい!!」
手を繋ぐと、キミは照れくさそうに微笑んだ。
十四松くんはかなり変わっていて、
ニートで野球バカだけど、
誰よりも純粋で無邪気な、
わたしの大切な人。
かけがえのない恋人…。
今は、お仕事を探していくつも落っこちているみたいだけれど、
無事に見つかったその時は心からのファンファーレを奏でよう。
十「主ちゃん、ぼくね、ずっと手を繋いでいたいな!」
主「うん、わたしも!」
2人の明るい未来を夢見て…。