第5章 十四松にファンファーレを
ト「十四松兄さん…」
チ「お前それ、ヤキモチ焼いていじけて帰ってきたってこと?」
ト「ちょっと!なんでダイレクトに言うかなー!」
チ「ご、ごめんっ!十四松の新たな一面を見てビックリしたというか…コイツって嫉妬とか、そーゆー感情とは無縁だと思ってたから…」
チ(少し前に、失恋していたからな。自信を無くしているのか?)
一「で?元に戻った後も会うわけ?」
十「自分でも、薬が切れた後どう接すればいいのか分からなくなってきているんだ」
ト「これってアレかなー?女の子がスッピン見せるの恥ずかしー!お泊りデートどーしよー!みたいな」
チ「いや、スッピンというか、中身も頭身もアレだから次元が違うと思うけど」
すると、僕の右で寝ていたおそ松兄さんがむくりと起き上がった。
お「まぁ、あれだ。俺が言いたいのは、この間の件も含めて…」
立ち上がりパチリと電気をつける。
お「なんでコイツだけ…頻繁に女の子と仲良くなってんの!?」
カ、チ、一、ト「!?」
カ「言われてみれば…なぜだっ!なぜオレの元にカラ松ガールズはやって来ない!?」
チ「そ、そうだよ!僕からしてみれば女の子と話せるだけで死ぬほど羨ましい…!」
一「目が合うだけでも…」
ト「ボクだってなかなか2人っきりで会ってもらえないのに!」
ガサッ
起き上がり、5人で十四松を囲い込む。
十「あ、あれ?みんなどうしたの?」
お「十四松よ…答えは導かれた…。お前は、贅沢をしすぎだ」
カ「そうだぞブラザー…。出会いのないオレたちには、恋に悩む事すら許されない…アンダースタンッ?」
チ「ましてや、同じ時を過ごすことも…」
一「…目が合うことも」
ト「僅かに残された、ヤレるかもしれないという可能性に…かけることさえもっ!!」
お、カ、チ、一、ト「俺たちには出来ないっ!!」
5人の心は1つになった。
十「なっ!?みんな、何をす…うわーーっ!!」
ムカつくほど鍛えられた細く長い四肢の自由を奪い、全員で関節技を決める。
そう、これは、僕たちなりの叱咤激励なのだ。
…何の解決にもなっていないのはノーコメントである。
そんなこんなで、夜の松野家に十四松の悲痛な叫びがしばらく響き渡ったのだった…。