第5章 十四松にファンファーレを
チョロ松視点
チ(何なのこの状況…!暑っ苦しいなぁおいっ!)
夕方、一松が血相を変えて帰ってきて、十四松の異変を僕らに話した。
半信半疑だったけれど、夕飯、銭湯、就寝中、全てにおいて十四松はF6バージョンだった。
夕飯は母さんが涙を流しながら梨を大量に剥いて出したり、銭湯では番台さんが鼻血で出血多量になり運ばれたり…F6の影響力はこんなにも大きいのかと驚嘆した。
それはまぁ、置いておいて…
チ「十四松!狭いしカッチカチの上腕二頭筋が痛くて眠れないんだけど!?」
僕の左隣りには、なぜかブーメランパンツ一丁の十四松が横になっているのだが、布団からはみ出してるし肩幅広いし気持ち悪いしで六人はすし詰め状態だった。
十「アハハッ、ごめんねチョロ松兄さん。腕枕しようか?」
チ「いらんわっ!!っつか、他の4人はなんで普通に寝てられんの!?気になってぜんっぜん眠くならないんだけど!」
お「うるさいな〜。寝れねーならシコ松らしくシコってくればー?」
ト「プッ!そーゆーこと言うと、また自家発電三郎が怒るからっ」
チ「トド松、お前も同類なんだけど」
ト「そんなことよりっ!ねぇねぇ、十四松兄さん今日上手くいったの?」
十「うん、楽しかったよ!」
一「デートの約束するっつってたけど…」
十「それは…明後日大事な予定が入っているからって断られちゃった…」
お「別にその次の休みにデート誘えばいいじゃん?」
十「でも、F6でいられるのは3日だけだから…」
お「はぁ…お前ねぇ、何臆病になってんの?普通の十四松の時仲良くなったんだろ?裏技なんか使わねーでそのままのお前でいいじゃん?」
十「でもきっと、この姿の僕の方が好きになってくれるでしょ?」
カ「どうした十四松?珍しく弱気じゃないか?お前らしくもない」
チ「…うん。カラ松兄さんの言う通りだよ」
しばしの沈黙の後、十四松は重い口を開いた。
十「…実はこの前、僕といる時にその子が高校の同級生に話しかけられててさ。すごく楽しそうに話しこんでいたんだ。だから、邪魔になると思って気づかれないように帰って…。途中で帰ったから、あの後2人きりになってさらに親密になったかもしれない…。だから、僕、不安で…」