第5章 十四松にファンファーレを
主人公視点
主「ありがとうございました!」
もうすぐ正午。あくびをこらえながらレジに立つ。
昨日はあまり眠れなかった。
同級生と会った翌日から、十四松くんを見ていない。
いつも楽しそうにニコニコしていたあの顔を、突然見られなくなったのが少し寂しかった。
主(会わなくなって3日目か…。今日は会えるかな?)
なんとなく外を眺めると、何やら自動ドアの前が騒がしい。
主(何だろ?事故でもあったかな?)
すると、
ウィーン
金髪碧眼の8頭身イケメンが、人だかりをかきわけお店に入ってきた。
主「い、いらっしゃいませ!」
後を追う20人くらいの女たち…。
主(わーっ、少女漫画に出てきそう!)
しばらく見惚れていると、その人は炭酸水を持ってレジにやってきた。
後ろの取り巻きに圧倒されながらも、バーコードリーダーを通す。
主「ひゃ、108円です…」
その人は、ポケットから小銭を出すと、親指と人差し指で器用に飛ばし、レジに108円を綺麗に落とした。
?「どうぞお姫様。あっ、あともう1つ」
その人は、人差し指をピンッと立ててウインクを飛ばしてきた。
?「マイフェアレディもください」
主(マイフェアレディ?聞いたことない銘柄…)
主「申し訳ございません。うちではそのタバコは取り扱っておりません」
?「ハハッ、面白い冗談を言うね?」
そう言うと、立てていた人差し指を銃のように構えて、引き金を引く動作をする。
?「キ・ミ・だ・よっ。オードリーヘップバーン!」
主「は?」
取り巻き『キャーーーッ!!!』
なぜか取り巻き達が卒倒しだした。
訳が分からず立ち尽くしていると店長が出てくる。
店「ちょ、ちょっとお客様!イケメンすぎて他のお客様の迷惑です!お会計が済んだら早くお帰りください!」
主(イケメンすぎてって何!?)
?「やれやれ…。とりあえずはお預けだねっ。じゃっ、いつもの場所で待ってるよ!」
チュッ
投げキッスと卒倒した取り巻きを店に残し、謎のイケメンは去って行った…。