第5章 十四松にファンファーレを
瞼を閉じかけたその時…
?「あれ?もしかしてyou主じゃね?」
不意に歩道から、わたしの名を呼ぶ声がした。
上半身を起こし振り返る。
そこには、見覚えがあるような無いような男の人の顔。
主「ええっと、すみません、ちょっと思い出せなくて…」
?「あー覚えてない?高校の時同じクラスだった、野球部の池面田魔三郎だよ!」
主「…あーっ!野球部のエースだった池面田くんかぁっ!髪伸びてるから全然気づかなかったよ!」
池「まぁ、あの頃はボウズだったからな。お前、こんなところで寝っ転がって何してんの?あれ、それ楽器?」
主「うん、ここで練習してるの。池面田くんはどうしたの?」
池「すげーなー!まだ音楽続けてたのか!俺は草野球でしれっと投げてるだけ。そうそう、これから高校の友達で飲むんだけど、せっかくだからお前も来る?」
主「うーん、わたしはいいや。十四松くん隣で寝ちゃったから、起きるまで側にいたいし」
わたしがそういうと、池面田くんは横目で十四松くんを見た。
池「ふーん、お前彼氏出来たんだ。高校時代は彼氏作らなかったらしいけど、お前、何気に隠れファンいたんだぜ?」
主「ち、違う!彼氏じゃないよ!この人は…その、大事な友達!」
少し照れくさくなり、必要以上にはぐらかす。
池「ふーん、友達ね。じゃあさ、今度合コンやらね?お前いい感じに可愛くなってるし、けっこうウケると思うんだよね。もちろん、俺もがんばっちゃうけど」
主「けっこうです!行かない!」
池「何顔を赤くしてんだよっ。ま、合コンと言わず飲みに行こうぜ?ライン送っとくよ。じゃあな」
池面田くんは、わたしの頭を一度だけ撫でて去って行った。
主(何あいつ!久々に会ったのに馴れ馴れしくない!?)
十四松くんがまだ寝ているのか気になり、
ふと隣を見ると、
主「あれ?十四松くん?」
いつの間にか、彼の姿が消えていたのだった…。
・・・