第5章 十四松にファンファーレを
主(ふぅ、疲れたぁ…)
汗だくになりながらも、なんとか吹き終わった。10分は演奏していたんじゃないだろうか。
素振りをしながら歌っていた草野球くんも汗びっしょりだ。
?「あははー楽しかったぁ!ラッパクソ上手いね!!」
主「は、はは…。素振り見てたら高校時代が懐かしくなっちゃって…」
?「ちょっとまっててー!」
主「え?」
すごい勢いで走って行ったかと思うと、ペットボトルを2本持って戻ってきた。
?「ハイどうぞー!」
主「あ、ありがとう…!」
?「ぼく十四松です!!キミはー?」
主「you主。十四松くんって言うんだね」
十「ぼくね、いっつも主ちゃんのラッパ聴いてたよ!うんまーって!」
主「わたしも、十四松くんが素振りしたり泳いでるの、いつも気になってた!面白いなぁって!」
十「そーすか!じゃあ素振り10000本みたい?」
主「い、いや、それは遠慮しておく…」
十「あははーっ!キミ楽しいねーっ!」
主「そ、そう?十四松くんのほうがいろいろ面白いと思うけど」
十「みてみてー!触手ー!!」
人間とは思えない動きで両腕をブラブラし始めた。言動も行動も全てが予測不可能である。
主「それ、関節どうなってるの!?」
十「わかんなーい!足も出来るよー!」
主「あははっ!すごい!信じられない!!」
気がつくとわたしは、時が経つのを忘れ沢山笑っていた。
・・・
話し込んでいたら…というか、不思議ワールドに引き込まれていたら、辺りはすっかり暗くなっていた。
主「あーいっぱい笑った!今日はもう帰るね」
十「腹へったー!主ちゃん、また遊ぼ?」
主「うーん、練習後にならいいよ!」
十「やったぁーーー!!また遊びマッスルマッスルー!ハッスルハッスルー!」
主「ふふっ、じゃあまたね!」
十「マッスルマッスルー!ハッスルハッスルー!」
十四松くんは振り返ることなく、夕闇に消えて行った…。