第4章 ひとりぼっちヒーロー 一松
一「優しい?カワイイ?このおれが?ケッ…目が死んでる動く燃えないゴミの間違いだろっ」
主「ほら、そういうところがカワイイの」
一「はぁ!?」
主「動く燃えないゴミは、人助けなんてしませんっ!それにわたしは、ゴミなんて好きにならないし!」
一「…え?今、オマエ…」
主「だから、その…」
胸がドキドキする。
でも、この不器用くんにはちゃんと伝えないと。
主「わたしでよければ…もっと、仲良くなりたい!一松くんのこともっと知りたいし、わたしのことも知ってほしい」
一「…主…!?」
主(ん?初めて名前を呼ばれたような…)
一「でも…おれのことなんて、知ったって生きる上で必要なこと何一つ無いし…!」
主「それはお互いさまですよ?わたしのことだって、知ってもつまらないかもしれない…」
一「そんな事ないっ。おれは、ずっと前からオマエのことを…!」
主「わたしのことを?」
一「………言わない」
主「あっ!ずるい!」
一「……帰る」
主「えーっ!?」
一松くんがこちらに背を向け歩き出す。
主(返事をもらってない…フラれちゃった…かな?)
一「…チッ」
一度、舌打ちをしたかと思うと、
一「……主…。今度の休み、いつ?」
振り返り、立ち止まった。
主「へ?えーっと…金曜日だったと思うけど?」
一「………猫カフェ、行きたい」
主(これは…一松くんなりの返事なのかな?)
主「…うんっ!連れてって!!」
満面の笑みで返事をする。
一「あと、猫神社も行ってみたい…」
主「じゃあ猫博物館も行きたい!」
一「…イイね…」
路地裏から出て、二人肩を並べ、他愛もない話をしながら帰った。
少しづつ、
少しづつでいいんだ。
2人のペースで、
2人の距離を…。