第4章 ひとりぼっちヒーロー 一松
でも気になることはもう一つある。
主「どうして、助けてくれたのを隠していたんですか?」
一「…だ、だから言ってるだろ!人と関わるのがメンドーだって…」
一松くんの言葉は、本当のようで嘘に聞こえる。
この人は、もしかしたら誰よりも繊細で、傷つきやすくて…
自分を守るために人と距離を置いているだけで、
きっと、本当は…
本心では…
主「一松くん…」
一「な、なんだよ?おれはもう、話すことなんて…」
主「わたし、人と仲良くなるのは苦手なんです。不安になるし、緊張もします」
一「は?何言って…」
主「一松くんを見つけて追いかけた時、しつこくして嫌われちゃうかなって思ったんです。でも、それより…」
一「…」
主「…会いたいって思ったから…」
一「っ!!」
主「……」
一「……」
これで、拒絶されたら、もうこんな風に話せなくなることは分かっていた。
でも、そんなのどうだっていい。
傷つくのはわたしだけ。
なら、いいんだ。
・・・
しばらく会話が途切れて、
お互いうつむいたまま時間が過ぎていく。
すると、
一「…い…」
彼が言葉を紡ぎ出し、私は顔を上げた。
一「きっと、嫌だろうと思って…」
彼の肩が震える。
一「お、おれなんかに、助けられても…。イケメンで高学歴、ハイスペックな野郎の方が、いいに決まってるし…」
主(イケメン高学歴、ハイスペックって…)
主「…ぷっ、あはははははっ!!」
予想だにしなかった回答にこらえきれなくなる。
一「な…なんだよ!?人が真剣に…!」
主「だって…そんな…!イケメン高学歴とか…あはははっ!!」
一「……もういいっ!」
一松くんが拗ねたようにプイッと背中を向けた。
主「はぁ…苦しかった…!一松くん、イケメン高学歴ハイスペック野郎よりも、わたしは不器用だけど優しくて、カワイイ一松くんの方がいいですよ。一緒にいて落ち着くし」