第4章 ひとりぼっちヒーロー 一松
主「うーん…用事があってついてきたんですけど、もう済んじゃいましたっ」
一「…は?」
主「今朝、貧血で倒れたら誰かがお店まで運んでくれてて。もしかしたらって思ってたけど、やっぱり一松くんだったんですね。それに、トラックからも守ってくれたんだ…。自分から話してくれたから、聞く手間が省けちゃった」
一「…あ…!」
一松くんはしまったという表情をした。
主「…ありがとう。わたしのこと何度も助けてくれて…。一松くんがいなかったら、わたし…」
一「なっ、なんだよ!?勘違いだ!見かけただけで…!」
主「実を言うと…助けてくれたのが、一松くんだといいなぁって思ってたんです。だから…嬉しい…」
一松くんの顔が耳まで赤くなる。
一「な、ななななななんでそんな…!お、おれはもう、帰る!」
主「ちょっと待ってください!」
たじろぐ一松くんの腕を掴み、袖を見る。
主「…やっぱり。わたしの服についてたのと同じですね」
一「い、一体何を…?」
例の猫の毛を、一本摘んで一松くんに見せると…
一「ヒッヒィィィイ!!??」
予想を超えた驚きを見せた。
一(お、俺が猫になっていたのが、もしかしてバレていたのか!!??)
主(そんなに驚くこと…かな?)
ヒラヒラと猫の毛を遊ばせながら得意げに話す。
主「これで、もう言い逃れは出来ませんよ?これが何よりの証拠です!」
一「じゃ、じゃあここまでついてきたのは…。」
一(おれが猫に変身するのを、確認しがてら嘲笑いに来たのか…!?)
主「…これは、あの子猫の毛だったんですね!」
一「えっ…?」
主「昨日からずっと気になっていたんです!はぁースッキリしたっ!」
一(ば、ばれてない…のか?)
一松くんが助けてくれていたことと、猫の毛の謎が解け、心からホッとする自分がいた。