第4章 ひとりぼっちヒーロー 一松
主人公視点
風を感じる。
空を飛んでいるような、不思議な感覚。
気持ちよくって、なぜか安心感があって。
主(これは、夢…?)
薄眼を開けると、ぼんやりと視界に何かが入る。
主(紫?ってわたし、お姫様抱っこされてる!?)
段々と意識がハッキリしてきた。
主(一松くん…なの?)
顔を見ようと重たい瞼をゆっくり開くとそこに映ったのは、
主(ね、猫!!??)
あまりにショッキングで、わたしは再び無意識の世界に誘われていった…。
・・・
目が覚めるとペットショップのソファーで横になっていた。
主(…さっきのは、夢だったのかな?すごく記憶に残ってるけど…。って…あれ、わたしどうやってここに!?)
ソファーに座り直し、記憶を辿っていると店長が部屋に入ってくる。
店「youさん!よかった、目が覚めたか!」
主「わたし、どうやってここまで…?」
店「道で倒れていたのを、通りがかった人が助けてくれたらしい。その人にお礼をしたかったんだけど、目を離した隙にいなくなっていたんだ」
主(そういえば、昨日公園から帰った後、警察の事情聴取で遅くなっちゃって、ずっと何も食べてなかった…。貧血になっちゃったのかな…)
主「あの、その人って…紫のパーカーとか着てませんでした!?」
店「うーん。俺もオープン前で忙しかったから、そこまで覚えてないなぁ」
主「そう…ですか…」
片手で頭を抑えると、店長に肩をポンッと叩かれた。
店「…今日はもう、家に帰って休め。その調子で働かれても心配だからな」
主「え?でも、わたし働けます!!」
店「いいからいいから。その代わり、明日からまた頑張ってもらうからな!」
主「す、すみません…。ありがとうございます…」
店長に頭を下げる。
その時…わたしはある事に気づく。
なぜその人は、わたしがここで働いているのを知っているのだろう?
そして、もしやと思い腕を見ると、
服の袖に、昨日と同じ猫の毛がくっついていた。