第1章 おそ松な彼氏
数分後、メニューが運ばれてきた。
サラダを取り分けると、おそ松くんは照れくさそうに俯いている。
主「どうかした?」
お「いや、なんか、こーゆーちゃんとしたデートっぽいの初めてで…。ちょっと嬉しい」
主「意外!話しやすいから慣れてるのかと思った!」
お「ほんと?やったねー!」
わたしの一言に、嬉しそうに鼻の下を擦ってニカッと笑っている。
こうして、2人でサンドイッチを頬張る頃には、すっかり打ち解けて会話が弾んでいた。
主「おそ松くん、これ、この間のお礼」
バッグからヅタヤの無料券を出しておそ松くんに渡した。
お「えーまじかぁ!いいって言ったのに!ってかこんなに沢山?いいの?本当にもらっちゃっていいの?」
主「もちろん!」
おそ松くんは子供みたいにはしゃいで無料券にキスをしている。
主(よかった…喜んでくれたみたい)
主「これで好きなの借りて観てね」
お「主ちゃんは映画とかよく観んのか?」
主「映画館はあまり行かないけど、家でよく観てるよ」
お「ふーん。じゃあ…」
主「ん??」
会話の続きを待っていると、おそ松くんは少しうーんと悩んでから、人差し指をピンッと立てた。
お「名案というか提案。この後、俺んちで一緒に映画とかよくない?」
主「え?」
お「主ちゃんがくれた券でお互い好きなの1つずつ選んでさー。部屋真っ暗にして観たら心も身体もお近づきにってブフッ!!??」
話している途中で、どこからか飛んできた石がおそ松くんの眉間にクリーンヒットした。
主「ちょ、ちょっと、大丈夫!?」
おそ松くんは白目を向いて、食べかけのサンドイッチの山に埋もれている。
お店の人を呼ぼうとすると、
お「いつつ……呼ばなくて…いいから。ったく、あいつら…!主ちゃん、ちょっとトイレ行ってくるわ」
主「えっ?でも、怪我は平気なの!?出血すごいよ!?」
お「へーきへーき!コーヒーおかわりでもして待っててよ。じゃっ」
頭から血を吹き出しながら、おそ松くんはフラフラと消えて行った…。