第1章 おそ松な彼氏
主人公視点
土曜日の午後、私は喫茶店のオープンテラス席で松野さんを待っている。
電話を貰った時に、弁償も兼ねて一回食事をしたいと伝えたら、今日会ってくれる事になったのだ。
だけど、弁償は本当にいらない、したら怒るとまで言われたので、お礼のプレゼントを用意してきた。
さすがにAVを買うのは気が引けるので、ヅタヤのレンタル無料券を選んだ。
コーヒーカップに口をつけ、腕時計を見ていると…
お「よっ、おまたせ」
赤いパーカーを着た松野さんがニコニコしながら向かいの席に座った。
主「こ、こんにちは!今日はわざわざ来てくれてありがとうございます!」
お「こっちこそ、こんなカワイイ子に誘ってもらえてうれしいよー。見れば見るほどカーワイーイねー!!」
主「!!」
不意にカワイイと言われて思わず頬が熱くなる。
お「今日は俺が奢るからここでなんか食ってこうぜ?何食べる?あ、これいーんじゃない?クラブハウスサンド?は?クラブハウス?なんで喫茶店でクラブハウス?」
松野さんは、メニューとにらめっこしながら1人でぶつぶつ呟いている。
主「あ、あの、わたしが払います!今日はお礼をしたくて呼んだので!」
お「だからホントにいいって!カワイイ子とメシ食えるだけで俺には充分!おねーさーん、注文おねがーい」
言い返そうとしたタイミングで店員さんを呼ばれてしまう。
結局、松野さんがメニューを何品か選んで注文をしてくれた。
主「ご、ごめんなさい…わたし…」
お「だからー気にしないでって。俺が勝手に奢りたいんだから。あと、堅っ苦しいのはナシにしよ?これからは名前で呼んでよ。あと敬語禁止ねー」
主「う、うん。ありがとう、おそ松くん」
お「おっ、よくできましたー」
ぽんぽんと頭を撫でられる。
主(なんか…ほぼ初対面なのに、気さくに話しかけてくれるから、昔からの知り合いみたい)
お兄ちゃんがいたらこんな感じなのかな、なんて思いながらちらっと顔を見ると、おそ松くんはニシシとご機嫌な笑顔を向けてきた。