第3章 チョロシコスキーと呼ばないで
擦り減ったヒールでスタバァに着いた頃には、もう日が暮れていた。
注文を終え店内を見渡すと、ほぼ満席状態。
駅前のスタバァともなると、客足は昼夜途絶えず、常に人々の声で賑わっている。
主(うー、はじめに席確保すればよかった…。あ、奥が空いてる…!)
カウンター席の奥に、ようやく空席を見つけて腰を下ろした。
氷たっぷりで冷え冷えなアイスコーヒー。
ガムシロップとミルクで甘くするのがわたしの好みだ。
一口飲むと、疲労でボンヤリしていた頭がスッキリした。
・・・
カウンター席は、客の多さに無理やりイスを足したのか、かなり窮屈だった。
ふと、隣客の読んでいる本が視界に入る。
ブックカバーは付けておらず、題名が丸見えだ。
主(じ、自意識との付き合い方!?なんか難しそう…!)
こういうのって、自己啓発本って言うのかな、なんて考えていたら、どんな人が読んでるのか気になりだした。
顔を盗み見ると、なんと、隣にいたのは…
主(さっきの人!?こんな偶然って重なるもの!?)
コンビニで会った男の人だった。
話しかけようかどうか悩んでいると、その人がページをめくった時、本の角がコーヒーにぶつかり傾いた。
主(あぶないっ!)
とっさにコーヒーを支える。
すると、
主「!!」
手に暖かい感触。
わたしの視線の先では、
2人の手がコーヒーを掴み、重なり合っていた…。