第3章 チョロシコスキーと呼ばないで
主人公視点
主「ハァ…また、ダメだった…」
面接官に突き返された履歴書を見つめ、トボトボと家路を歩く。
上司のセクハラに耐え兼ねて、研修期間中にも関わらず前の会社を辞めた。
周りには我慢を強いられたが、とても耐えられるものじゃない。不倫のお誘いまで受けたんだから…。
主(今日で落ちたの3社目か…)
そんな経歴を持っているわたしは、当然簡単に再就職というわけにはいかなかった。
俯き歩いていると、ふと、通りがかったお店のショーウインドウに映る自分の姿を見つけた。
主(これが…わたし…!?)
やつれた顔、疲れきった瞳に加え、クリーニングに出したスーツも、セットした髪も、通勤ラッシュにもみくちゃにされボロボロだった。
笑顔で送り出してくれた親には、こんな姿どうしても見られたくない。
主(家に帰りづらいから、お茶でもして帰ろう…)
少し時間を潰してから帰ろうと思い立ったわたしは、くるりとUターンして駅前のスタバァに向かうことにした。
歩いている途中、喉がカラカラになると、家から何も水分を取っていないことに気づき、飲み物を買う為コンビニに入った。
適当なお茶を買って出口へ向かう。
ふと、出口に置いてある冊子が目にとまった。
主(あっ、最新版置いてある!)
それはタウンワーキングという求人情報誌。
かろうじて最後の一冊がまだ残っていた。
私が手を伸ばすのと同時に、隣で雑誌を立ち読みしていた男の人がタウンワーキングを手に取る。
主「あっ」
思わず声を漏らしてしまった。
?「ん?」
男の人と目が合う。
主「す、すみません…」
?「あ、いえ…」
すると、男の人は軽く会釈をして出て行った。
主(無くなっちゃった。ま、いいか…。スマホで求人探そう)
わたしもお店を出ようとすると、
主(あれ!?残ってる!)
タウンワーキングが一冊残ったままだった。
主(もしかして、さっきの人わたしに譲ってくれたのかな?)
冊子を手に取り急いでお店を出たけど、男の人を見つけることは出来なかった。