第2章 恋の迷い子カラ松
長く伸び、2つ並んだ影法師。
家まで送ってくれることになり、2人で夕陽を背に歩く。
ミウは安心したのか、わたしの腕の中でグッスリ眠っている。
主「ありがとう。見つけてくれて…」
カ「あぁ…弟の一松が教えてくれたんだ。あいつは町中の猫と仲良しだからな」
主「そ、それすごいね!ぷっ…あはははっ!」
カ「どうした?何がおかしい?」
主「いや、カラ松くん達ってなんて言うか、みんな個性的でおもしろいよね!仲良しだし。あたしは一人っ子だから、兄弟とか羨ましいな」
カ「そうか…」
主「おかげでミウも見つかったし」
カ「ああ」
主「もう、2人で探し回るのもおしまいだね…」
カ「そうだな」
主「ありがとう…今まで…」
カ「…気にするな」
・・・
会話が途切れ、しばらく無言で歩く。
主(やっぱり、わたしのこと…何とも思ってないのかな…?)
カ「主」
主(今までのイタイ発言だって、冗談だったんだ…)
カ「なぁ、主!」
主(でも…このままさよならして…本当にいいの…?)
カ「おい、聞いてるか?」
主(そんなの…よくないっ…!!)
主「カラ松くんっ!!」
カ「主!!」
2人同時に名前を呼び合う。
主「な、なあに?」
カ「随分返事が無いから心配したぞ!」
主「え…全然、聞こえなかった…。ごめん」
カ「それで……どうした?こういうのはレディーファーストで主からがいいだろう?」
主「あ、ありがとう。あのね…」
カ「ああ」
わたしは歩みを止め、カラ松くんを真っ直ぐ見つめた。
主「わたし…ね…」
カ「…」
主「ただの」
カ「ただの?」
主「…ただの知り合いなんてイヤだよ。もう会えなくなるのはもっとイヤ!もっと仲良くなって…カラ松くんと一緒にいたい!!」
カ「!!」
主(い、言っちゃったぁぁぁ…!!)