第2章 恋の迷い子カラ松
主人公視点
がむしゃらにカラ松くん家を飛び出して、わたしは2人が出会った川辺の見える橋に来ていた。
主(わたし、どうしちゃったんだろう…)
自分の気持ちが分からない。
カ『主とは何にもないっ!!ただの知り合いだっ!!』
カラ松くんの言葉が、頭の中でぐるぐると何回も再生される。その度に、胸がチクリと痛んだ。
主(なんでこんなに苦しいのかな…)
いつの間にか、毎日会うのも、優しくされるのも、イタイくどき文句を浴びるのも当たり前になってて。
一緒に過ごせるのが、楽しみになっていた…?
カラ松くんと、知り合いではなく友達…いや、友達以上の関係に…なりたい…の?
顔が熱くなるのを感じる。
主(わたし…カラ松くんのこと…!?うそ?いつからこんな…!)
自分の気持ちを否定しようとすればするほど、胸の奥に甘い痛みが襲ってくる。
主(でも、ただの知り合いって言われちゃった…)
主「ハァ…」
無意識にため息がこぼれた。
主「日が暮れるまでに、ミウをさがさないと」
すると…
カ「ため息をつくと、幸せがこぼれ落ちてしまうぜ?」
聞き馴染みのある声が聞こえた。
主「!?」
カ「もっとも…主が幸せを落としても、俺が拾いお前の元まで届けてみせよう…。だろ?マイハニー?」
こ、このイタくて意味不明な発言は……もしかしなくても…
主「…カラ松くん!…ってなにその格好!?」
振り向くと、ボロボロになったカラ松くんが立っていた。
さっき部屋で暴れていた傷やあざの他に、埃まみれでところどころ引っかき傷も増えている。
カ「フッ、なぁに、探し物をしていたらちょっと転んだだけだ。そうだろ?こね…いでででで!!!」
革ジャンのポケットに入れていた手を勢いよく出し、手と共にポケットから出てきたのは…
ミィー!
主「ミウ!!」
泥だらけのミウが、カラ松くんのポケットから飛び出してきた。
よろけながら私の足元へ駆け寄ってくる。
すかさず抱きしめると、胸の中でゴロゴロ喉を鳴らし始めた。