第12章 デート編 おまえら一体何なんだ!? トド松
トッティが両手を顔の前へ持って行きながらグーにして小首を傾げると、ジャラリと手錠が鳴った。
「はじめは、残念で哀れで惨めで無様だなって思ってたけど…ありがとう。ボクのことをこんなにも思ってくれて。こんなにもストーカー並に追っかけ回してくれて!」
トッティはまぶたを閉じてニコリと微笑む。
「分かってる。心配してくれてるんだよね?ボクがヘマをやらかすんじゃないかってさ。例えるなら、かわいい子には旅をさせよじゃなく、かわいい弟は大黒柱に括り付けて監禁せよってとこかな?」
「全然違うよー!羨ましいからなんとしてもじゃましようとしただけー!!」
じ、十四松くんなんてことを…。
きっとショックだろうと、トッティの反応が気になり顔を見れば、わたしの心配は杞憂に終わる。
生き生きとした笑顔のままだ。まるで気にしていない。
「ボク…兄さんたちの弟で本当によかった!六つ子に生まれて、末っ子で…本当によかったよ!!」
『し、しょうねーーーんっ!!』
涙で鼻声になりながら、ガッツポーズをとる新品ブラザーズ?くんたち。
一方、チョロ松くんは泣いている三人を冷ややかな目で見ている。
「分かってくれたか…少年よ」
おそ松くんがトッティの肩に手を置きながらうんうんと首を縦に振っている。
「分かってないけどとりあえずありがとう」
「さぁ、お前の衣装も持ってきたんだ。主ちゃんに堂々と我々の勇姿を見せてやろうじゃないか!」
いつの間にかマスクにピンクの「ト」があしらってある、トッティ専用のレンジャースーツが用意されていた。
「うん、わかった」
笑顔で頷きながら、トッティの視線が一瞬遠くに向けられた気がした。
気になりわたしも同じ方向を見ると、明かりが一つ、此方に向かい近づいてきている。
白い明かりは恐らく懐中電灯だ。
「トッティ、向こうから」
(シーッ、気づかないフリして!)
(え?えぇぇ?)
これ以上話したら舌を噛み切ると言わんばかりの必死な形相で耳打ちされ、思わず口をつぐむ。