第12章 デート編 おまえら一体何なんだ!? トド松
「散歩〜?こんな夜中に?いやぁ疑ってる訳じゃないんだけどさぁ、さっき通報を受けたんだよねぇ」
主ちゃんは不安げにボクの腕を掴んだ。
「トッティ、通報だって…。不審者でも出たんですか?」
「え?あ、あの、ふふふ不審者というか、抜け駆けしてあ、ぁあ兄より先に筆下ろしをしししようとしている弟がいるとかいないとか……!」
(何その豹変ぶり!?清々しいほどのポンコツになってるけど!?)
マズい。逃げないと。
「すみません、ボクたち急いでるんで」
三男を彷彿とさせるというか、三男でしかないおまわりさんに背中を向けた時、ガチャンという金属音と共に左腕に冷たい感触がした。
「はい被疑者捕獲」
「わあぁぁあーーー!!??」
(ボクのバカ!クソニート童貞胸キュン激カワ末弟!!)
一瞬でも油断してしまった自分を心の中で責めまくる。
チョロ松兄さんはそんなボクを見下げ、ニタニタと満足気に微笑みながら帽子のつばを上げた。
「離せよっチョロ松兄さんっ!手錠外せ!」
「え?チョロ松くん?おまわりさんだったんだ!」
ギクリと肩をすくませるチョロ松兄さん。
目が泳いでいる。
「えーと…ぼ、僕は…その…っ」
(ごめん主ちゃん…彼は公務員ではなくれっきとした無職だよ)
しかし、兄さんたち全員無職なのがバレたら、ボクたち六つ子が暗黒大魔界クソ闇地獄カーストの住人だって気づかれてしまう。
そうなれば、せっかく都内の洗練されたカフェで働いているという嘘でコーティングしているボクまでもがマイナスの印象を持たれるハメになるので、そこは適当にはぐらかす。