第12章 デート編 おまえら一体何なんだ!? トド松
ここまでのあらすじ
——新品ブラザーズの前に現れた謎の美女。
どうやら新品の青は、性懲りも無くまたぼったくりバーにカモられる様子。
エロいお姉さんと話す新品のカラ松を目の当たりにし、心に深いダメージを受けて崩れ落ちる新品のおそ松、一松、十四松。
歩くことはおろか立ち上がることすらままならない三人は、力なくアスファルトに身体を預けるも、新品のカラ松を必死に止めようと声を振り絞る。
ちなみに、通行人の邪魔でしかなく迷惑千万である。
果たして、新品のカラ松は誘惑に打ち勝ち、三人の元へ戻って来るのだろうか?
新品ブラザーズの運命やいかに!!——
「ダメだ…行くなぁー!しんぴーん!!」
去り行く背中に向かい、手を伸ばす新品の赤。
女の人と腕を組みながら歩くカラ松兄さん(マスクはポケットに丁寧にたたんで入れてた)は、戦地にでも赴くような顔つきで振り返った。
「すまないみんな…どうやらオレは、ここまでのようだ…」
カラ松兄さんの頬のきらめきは、瞳からこぼれ落ちた涙の証。
「イヤだよ…!ぼくらを置いて行かないでー!!」
「もうダメだ…おしまいだ。あんな手練手管でエロいお姉さんと初夜を迎えてしまったら、変な性癖植え付けられる……」
コイツら…ゴキブリみたいに床に這いつくばって、さっきから何言ってんの?
「…案ずるな新品の一松。オレはこの試練に耐えてみせる…。何が何でもナニを守ってみせるさ…」
じゃあ行くなよとは思ったが、一人でも消えて欲しいので静観する。
主ちゃんはキョトンとしながら事の成り行きを見守っている。
きっと、素直にヒーローショーの練習だと思ってるんだろうな。ホントいい子だよね。あー早くエッチしたい。
「それに——たとえナニが黒光りしても、オレはみんなの心の中で永遠に新品として生き続ける………だろ?」
『しんぴんのからまーつ!!』
「あははっ、ぶっ飛んでんのしかいない」
なんて呑気に笑ってる場合じゃなかった。
ボクは彼女の華奢な腕を掴み走り出す。
「主ちゃん、今のうちに逃げるよ!」
「へ?あ、あの、ちょっと待って!」
新品ブラザーズが、ぼったくりバーの客引きに気を取られているうちに、ボクたちは近所の森林公園へと逃げ込んだ。