第12章 デート編 おまえら一体何なんだ!? トド松
「ねぇ、トッティ…」
主ちゃんがボクのシャツを掴み、困惑した顔で見つめてきた。
「みんなどうしたの?さっきから一体何を言ってるの?」
…至極マトモな意見だ。
ラブホ前にほにゃららレンジャー風な衣装を着たクソ共が現れ、クソつまんないコントもどき見せられるとかどーゆークソ展開だよ。
「ええとね、うん、ヒーローショーの練習してんじゃないかな?」
「こ、こんな夜にこんな所で?」
「ふふっ、意味わかんないよね。面倒だから、この際何も見なかったことにして、違うとこ行こっか?」
「おいっ!待つんだ少年!」
引き止める新品の赤を無視し、主ちゃんの手を引いて歩き出すも、またしても四人に取り囲まれてしまう。
シツコイなぁ…。
どうしよう?どうやってここを切り抜ける?
ボクは決めたんだ。
何が何でも今夜、絶対にキメてみせるって!
ファイトだよ!トド松!
緊迫した空気。
額に滲んだ汗が頬を伝う。
負のオーラを放ちながら対峙する、四人の新品ブラザーズ。
(こうなったら…兄さんたちを褒め殺して、調子に乗った隙に——)
声が喉の奥まで出かかった時、
「あの…すみません…」
背後から女の人の透き通るような声がした。