第12章 デート編 おまえら一体何なんだ!? トド松
「主ちゃん、ここは混んでるから違うラブホにしよっ?」
戸惑う彼女を無理やり引っ張る。
「ま、待って…!今のって…もしかしてトッティのお兄…」
「ふふっ、あれじゃない?田舎によくある地域振興のなんたらレンジャー?関わるとお米券とか押し売りされそうだから、早く逃げようね」
「ガール、少年の言う通りだ。オレたちは少年の六つ子の兄では決してない。断じてない。ただの通りすがりの救いのヒーローさ」
四人を背に歩き始めた矢先、いつの間にか新品のカラ松兄さんがボクらの前方に回り込んでいた。
「あ、やっぱりカラ松くん…だよね?」
あぁ…主ちゃんが新品に話しかけてしまった…。
「な…っ!?これはまさかの、ヒーローの素性を知ってしまい愛が芽生えるパターン!?」
「バカなの!?登場シーンで堂々と名前言ってたでしょ!!」
「しっかりしろ新品!なに惑わされてんだ!」
遅れてやってきた新品のおそ松兄さんが、新品のカラ松兄さんの肩を掴みガクガクと揺らしている。
「す、すまないっ!エロい笑顔を向けられて…つい!」
「ええと…こっちは赤で『お』だからおそ松くん…かな?分かりやすいね!」
あー最悪。
人の恋路の邪魔する暇があるなら、就活なり合コンなり勝手にやっててくれないかな?
仕方ない。とりあえず存在を無視するのが無理ならば…!
「こーら、兄さんたちは地域振興化のバイト中なんだから、名前を呼んじゃダメだよっ」
こいつら自分で名乗ってたけどね、というのはひとまず置いておこう。
「こんな夜中に?でも…そっか、みなさんごめんなさい」
申し訳なさそうにぺこりと頭を下げる主ちゃん。
素直!!ボクの彼女は素直すぎる!!
猜疑心も邪心もない!
これはこの先、変な輩に騙されたりしないよう、何が何でも守ってあげないと。