第12章 デート編 おまえら一体何なんだ!? トド松
誰もいない公園。
自販機の明かりに照らされたベンチに腰掛ける主ちゃん。少し酔った彼女は、目を瞑りながら虫の鳴き声に耳を傾けている。
ボクはミルクティーを二人分持って隣に腰を下ろした。
缶の蓋を開けると、主ちゃんは音に気付き目を開ける。
目の前に缶を差し出せば、お礼を言いながら嬉しそうに受け取った。
「なんか落ち着くね」
「ここの公園は、人通りが少ない場所にあるからボクのお気に入りなんだ」
…クイズ大会のトラウマは未だに残ってるけどさ。
って、ボクってばおバカさん。
デート中にクソたちを思い出すなんて。
忘れよう。消去消去。
「再会した夜も、今日みたいにお星さまキラキラだったね」
「そうだね。トッティから話しかけてくれて、ここのベンチで話したんだよね?」
「覚えててくれたの?嬉しいな」
思いを確かめるように肩を抱く。すると、拒むことなくボクの首に顔を埋め、キミは小さく息をこぼす。
(か…かわいい)
ボクもかわいいし清潔感あるとは自負しているけれど、女の子って独特な柔らかさと透明感があるよね。
ワンピースの上からでも分かるんだ。
素肌で触れ合ったら…吸い付くような柔肌で、きっと気持ちいいんだろうな……って。
(キス…したい)
顔を彼女に向けると、かわいい瞳にボクが映っている。
「トッティ…」
「な、なーに?」
ふに、と、首筋に落とされる、果実のようにみずみずしい唇。
甘い香水の匂いとは裏腹な色っぽい声、仕草。
胸が高鳴る。ドキドキがズキズキに変わる。
ときめきすぎて、唾を飲むのすらツンと喉が痛む。
「…もう、平気だよ…心の準備」
「主ちゃん…」
恥ずかしそうに、艶っぽい唇が動く。
「そろそろ行こう…トド松くん」
その一言で、ボクは全身の血液が顔に集まった…って思うくらい顔が熱くなった。
うん、あくまでも例えの話。実際そんなことになったら顔が勃起レベルだからね。