第12章 デート編 おまえら一体何なんだ!? トド松
「逃げるんじゃない!ほら!末弟に先を越された現実を噛みしめるんだ!」
おそ松は、トド松が「新品」という肩書きを捨て、大人の階段を上ろうとしている"物的証拠"を、某時代劇で印籠を出すシーンのごとく威圧的に見せつけてくる。
「何が装着感ゼロだあぁぁあ!!オレは信じない!ゴム臭カットでつけ心地ゼロなんてありえないっ!!」
「カラ松、なに錯乱してんの」
我に返ると馬鹿馬鹿しくなってきた。
さっきから何なんだこの茶番は…。
「ボゥエッ!!」
「死ぬ前に…コロス」
「うぐ…くたばってたまるか!オレを待つデスティニーに会うまでは…!」
「ボェバァッ!!」
「んあああんっ!!」
「もういいよこのくだりっ!さっきから引き延ばしすぎだろ!!どんだけ過剰反応してんの!?ってか一松最後の何!?」
僕が怒鳴りつけると、おそ松はヘラヘラ悪戯っ子な笑みを浮かべたまま両手に持った恐怖のナニ達をちゃぶ台へ戻した。
「とまぁ、悪ふざけはこれくらいにして座ろう」
「弟で遊ぶなバカ!」
そう。
僕らの目の前に置かれたのは、コンドームの箱とどぅるっどぅる(ローション)。
たかが避妊具と潤滑剤にいちいち反応してしまう僕たちは、どうしようもなくクソで滑稽な成人童貞だった…。