第11章 デート編 十四松の夏
アマゾン二往復でさすがに疲れ、浜辺でボーッとしてたら、ようやくタッティは静まってくれた。
マジち○こって生き物みたい。
全然言うこと聞いてくれないんだもん。
「はいどーぞ!」
「えーーっ!いーのー!?」
「沢山面白いの見せてくれたからね」
「やったぁ!ありが盗塁王!」
主ちゃんがレモンのカキ氷をぼくにくれた。
一方の主ちゃんはフランクフルトを食べている。
ワザとかなぁ?
え?何がって?
なんでもないよー!!
「あー楽しかったー!もうクタクタだよー」
「シャリシャリシャリ」
ぼくは頷きつつカキ氷を食いまくる。
頭冷やさないとまたタッティしちゃう。
「だいぶ人減ったね〜」
「シャリシャリ」
「ふふっ、そんなに勢いよく食べたら頭痛くなるよ」
「あ"ーーーッ!!」
キーーーンとする頭を抱えるぼくの隣で、ほらねといいながらケラケラ笑っている。
よかった。
頭は死ぬほど痛いけど、笑ってくれた。
ぼく、主ちゃんの笑った顔がいちばん好きなんだ。
まだ少し痛む頭を押さえながら、空のカップをお腹の上に置き砂浜に寝転ぶと、茜色の夕日が見えた。
(そっか、もうすぐバイバイの時間なんだ)
フランクフルトを食べ終わった主ちゃんも、ぼくのマネっこしてゴロンと横になる。
「そろそろ帰らないとね」
「そーだね」
返事をすると、ぼくの左手に小さな白い手が重なった。
ドキリとして彼女を見れば、夕焼けとおんなじ色のほっぺ。
「十四松くん顔真っ赤」
「主ちゃんもまっかっか!おそろーい!」
ツンとほっぺを人差し指でつついたら、嬉しそうにくしゃりと笑った。
「あのね、十四松くん」
「うんうん」
あれ?二人で笑い合ったばかりなのに…。
ちょっとだけ寂しそう。