第10章 デート編 一松くんのドキドキデート日和
買い物したり飯食ったり、そうこうしている内にあっという間に夜になり、二人で赤塚駅まで帰ってきた。
こんなゴミでも、彼女を家に送り届けるくらいわきまえている。
生ぬるい夜風が吹く中、主の家を目指し歩いていると、遠くで雷鳴が聞こえた。
雨が近いな。
早く家まで送ってやらないと。
もう…主と離れんのか。
(最後くらい、手、繋げるかな)
ずっとポケットに忍ばせていた手をさりげなく出してみるも、全然気づかれない。
まぁ、これくらいで手を繋ぎたいって伝わるわけないか。
ホントは…キスもしたい。
そしてその先も…そろそろなんじゃないかと思ってる。
だって、ストローチューチューしたし。
ストローチューチューだよ?
思い出しても恥ずかしすぎる。
なんてハレンチなことしたんだ。
だからさ、もういいだろ?
何回お前をオカズにしたか分かんない。
エロ本に頼らず出せるとか、中学生かよってレベル。
でも。
主は…したいって思ってないかも。
おれだけかも。
頭の中で二人の自分がせめぎ合う。
ケッ、べつにいいや。
(もう我慢するのはやめだ)
ヤれなくたって死ぬわけじゃないし。
(主を抱きたくて死んじゃいそう)
前戯だなんだメンドくせーし。
(でも、もしも上手く出来なかったらどうしよう)
オナニーで済ませればいいや。
(この気持ち、自分じゃもう抑えられない!ぼくは、ぼくは…!)
「一松くん」
「わあぁーーっ!!」
「わっ、ビックリした!驚きすぎ!」
(絶妙なタイミングで話しかけてくんじゃねーーっ!!)
心臓が口から飛び出て引っ込んだ。