第10章 デート編 一松くんのドキドキデート日和
勘違いだったら恥ずかしいので、一応聞いてみよう。
「あのっ、一松くん?」
「……」
頬杖をつき、顔はおばあちゃんの方へ向いたまま、視線だけこちらに向けられる。
「クリームソーダ、飲みたいなぁー」
「……」
何も言わずおばあちゃんへ視線を戻してしまった。
(やっぱりダメなのかな?)
「ご、ごめん、やっぱり」
断ろうとすると、ストローを咥えながら口がうっすらと開き、
「…勘違いしないで」
ぼそぼそと蚊の鳴くような声で話し出した。
「おれ一人じゃ飲みきれないし、間接キスとかお前が嫌だろうって思ったから、ストロー二本にしてもらっただけで、別に、このハートマークのストローは、たまたま二本頼んだら店員が勘違いした粋な計らいをしてきて、それで…」
「えっと、つまり…」
止まるタイミングが読めないので遮る。
「一緒に飲んでいいって、こと…だよね?」
「ブクボコブクブシューッ!!!!」
「い、一松くんっ!?」
何故かクリームソーダが爆発し、彼の鼻と口、耳から噴射した。
・・・