第10章 デート編 一松くんのドキドキデート日和
主が隣にきたタイミングで一緒にペコリと頭を下げ、ガラガラとデカイ鈴を鳴らした。
お賽銭を投げ入れ、隣の主をお手本にチラ見しながら二拝二拍手。
お賽銭の斜め横にいる、仲良く並ぶ二体の白い招き猫に見守られながら、手を合わせて目を閉じた。
…何をお願いしよう?
主に彼氏認定されてますように?
主がおれと過ごしても不快になりませんように?
主がおれのこと嫌いになりませんように?
それってつまり。
(これからも、主と仲良く過ごせますように)
百円で叶うのならば、安すぎる願い事だ。
二人で一拝して本殿から離れた後は、ぶらぶら中を散策した。
おみくじを引けば、主の中吉に対しおれは凶。
期待を裏切らない運の悪さに、自分の運命を呪って神社を後にした。
おれがブスっとしていても、主は終始ニコニコ笑ってくれていた。
・・・
「一松くん、何お願いしたの?って、言うわけないか」
「…ご名答」
「言うと叶わなくなるって言うもんね」
「言って叶うとしても言わないケド」
「なんか嫌味な言い方ー」
言ってるつもりなんてなくても、勝手に嫌味になってるだけ。
我ながらすごい才能だと思う。