第10章 デート編 一松くんのドキドキデート日和
「なんで女ばっかなんだ?」
「うーん、ここは猫だけじゃなくて縁結びもあるからかな?本殿に夫婦の神様を祀ってるんだって」
「へぇ」
「婚活神社としても有名らしいよ」
猫に縁結びに婚活だぁ?
おれとお前の為に建てられたようなもんだろ、それ。
って、婚活!?
おれまだ無職童貞なんだけど!?
……も、もしかしてコイツ、おれとの将来を見据えてココに来たんじゃ…?
いや違う!猫神社行きたいって言ったのおれだった!!
これじゃあまるで、おれが求婚してるみたいじゃねーか!!
クソニート童貞の分際で恐れ多すぎる!!
立場をわきまえろいちまあぁぁぁあつ!!!!
「一松くん?なんで顔赤いの?」
「……あ、暑いから」
「じゃあお参りした後お茶して涼もう!」
「……気が向いたら」
シャーッ!よかった、誤魔化せた!
このまま主の頭ん中お茶一色になって、婚活を忘れてくれますように。
お茶か…。
お茶よりアイス食べたいかも。
あとは二人でストローチューチューしてみたい。
チューチューのあとは、ホントのチューとか…。
チューして更に、その先まで……。
今夜は寝かさないぜ的な……?
って、おれはクソ松かっ!!
「どうしたの!全身赤いよ!?熱中症!?」
「ち、違う!なんでもないっ!!」
ポケットに手を突っ込み、早足で賽銭箱の前まで向かった。
主の隣にいられない。
このままではこいつに殺られる。
ドキドキしすぎて心臓破壊されかねない。
デートってコワすぎ。
殺傷能力高くて恐怖でしかない。
どこ行ったおれの平常心?
だけどデートって、
(すごく楽しい…)
振り返って目が合うと、主はこぼれるような笑顔で微笑んだ。