第9章 デート編 チョロ松と愛しのプレデター
マサラな雰囲気(意味は適当だ)の店内に入ると、顔が象の神様や、手が何本もある神様の本や木彫り像が飾ってある。
オリエンタルな世界観に圧倒されていると、スパイシーな香辛料の香りと、なんかの匂いが鼻をかすめた。
席に案内され座り、僕は鼻をクンクンする。
(なんだろうこの、エキゾチックなお線香みたいな香りは…)
こんなに香りが強くて、カレーの風味に支障をきたさないのかな?
「んーイイ香りー!何のお香だろう?この異国情緒あふれる感じがイイよねっ!」
「そ、そう?」
そういうもんなのか。
確かに、周りの無駄にオシャレな一軍カップルや女子達は、全く気にしてないもんな。
(まるで、店内だけ冬葉原じゃないみたいだ……って!)
そうか!
そういうことか!
この匂いは、日本にいる事を忘れさせる演出という訳か!
そして店内にかかるノリノリなインドポップも!
全てが計算し尽くされた、視覚、嗅覚、聴覚に訴えかけてくるマサラなマハラジャ(意味は適当だ)だったというのかっ!?
僕も見習わないと!
慌ただしい日常を忘れさせてあげる、最高のデートを綿密にプランニングしなければ!
「チョロ松くん、こんな素敵なお店知ってるなんてすごいなぁ!」
「はは、ははは…気に入ってくれたならよかったよ」
勿論初めて入ったんだけどね。
トッティのSNS情報網を駆使して、カップルに人気なカレー屋がここだったんだ。
「チョロ松くん何食べる?」
「うーん、そうだなぁ…」
僕は無難なバターチキンカレーを、主ちゃんは三種類のルーが楽しめるレディースセットを注文した。