第1章 おそ松な彼氏
お「ゴメンな…これ、生理現象だから…」
主「そう…だよね…。うん、わかってる…」
お「っつーかさ、こんな状況で、カワイイこと言う主ちゃんが悪い!」
主「そ、そんなっ!わたしはただ…!」
お「それに、こんなもの押し付けられて、反応しない方が病気」
主「えっ?」
おそ松くんが胸元を直視している。
胸元…
胸!?
主「っ!!」
言われるまで気がつかなかった。
顔から火が出そうになるくらい恥ずかしい。
少し距離を置こうとモゾモゾ動くと、
お「ん?ちょっと待った!足音が聞こえる!」
おそ松くんが早口でつぶやいた。ピタリと動きを止めると、すぐそばで早い足音がする。
少し動いたせいで、さっきよりもさらに密着する格好になってしまった。
主(も、もうダメッ!心臓の鼓動が聞こえちゃうよ…!)
恥ずかしさと怖さで頭の中がぐるぐるしてくる。
すると、おそ松くんの片手が上がり…
ポンポン
頭を二回優しく撫でてくれた。
お「よしよし、よく頑張った。もう行ったよ」
主「よ…よかった…」
男を巻いた事より、この状況から抜け出せることに一安心だ。
お「今夜は送ってくから帰んなよ。俺としてはもう少しこうしてたかったけどね〜」
主「でも、飲みに行くって言っていたけど…あっ!」
わたしが言い終わる前に、おそ松くんはわたしの血だらけになった足を指差した。
主(気づいていたんだ…)
自販機の裏から抜け出ると、ひょいっとおんぶされる。
主「そんな!いっ、いいのに!」
お「もーっ主ちゃんはっ!!おれがしたいからしてるの!それにタクシーより、おれの背中の方が乗り心地いいっしょー?じゃ、出発しまーすっ」
主「本当に、ありがとう…」
優しくて大きな背中に身体を預ける。
お「どう?この背中、今なら主ちゃんだけのものにできちゃうけど!特別サービスで!買うなら今よー?」
返事の代わりに、背中にギュッと抱きつく。
お「…マジで惚れちゃうって…」
おそ松くんがポツリと呟いた。