第8章 デート編 カラ松の温泉旅行
前々から思っていたけれど…
「カラ松くん撮るのうまーい!!」
カラ松くんって器用だ。刺繍とかも上手いし。
夕陽が反射する水平線を幻想的に写し出している。
「フッ、サンセットビーチがオレに語りかけてきたのさ。その声に従ったまでだ」
「……」
感心したのに、何故か途端に褒める気が失せてしまった。
「ほら、そこに立て」
「えっ?」
言われるがまま立つと、またシャッター音が砂浜に響く。
「あ……」
「見ろ、沈みゆくサンも輝くシーも、主の前では色褪せてしまう……」
「あ、ありがとう」
言っている事は恥ずかしい事この上ないが、この時撮ってくれた写真は、今後一番のお気に入りになる自分だった。
「カラ松くん、こっち来て」
「んー?」
スマホを受け取ると、わたしは照れ隠しに二人を自撮りした。
初めてのツーショットだった。
だけど、逆光で二人の顔は暗くなってしまう。
「あれ…わたしってやっぱり下手だね」
「マイハニー、不器用なところも実にキュートだな。いいか、こうやって撮るんだ」
再びスマホを奪われると、肩を抱き寄せられ今度はカラ松くんが自撮りした。